これから録画サーバを作りたい人向けのおすすめパーツ
最終更新日:2016/07/13
これからPCを自作して録画サーバを作ろうと考えている際に、どのようなパーツ、ハードウェア構成で作れば良いか分からない人もいると思います。そこで、実際にどのようなパーツが必要なのか、また、どのようなパーツ構成でPCを組めば良いのかを説明します。
2016年6月19日追記)本記事の情報も古くなってしまったため、「省電力PC向けおすすめハードウェア構成」と「今から始める録画サーバの運用方法とおすすめパーツ」の2つの記事にまとめなおしました。どちらの記事も情報が古くならないように随時更新中です。
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目次
録画サーバに必要なパーツ
録画サーバに必要なパーツを箇条書きにまとめました。
- B-CASカード
- カードリーダ
- TVチューナーボード
- CPU
- メモリ
- ハードディスク
- マザーボード
- 電源
- PCケース
- キーボード
B-CASカードはハードウェアではないですが、録画サーバには必須なので挙げました。ビデオカードはオンボードのもので十分ですし、DVD(or BD)ドライブは必須ではないので入れていません。これらを1個1個選別するのは結構時間がかかります。CPUとメモリはマザーボードの規格に合ったものを選ばなければなりませんし、24時間稼働にする場合、省電力、耐久性もある程度考慮する必要があります。PC自作初心者には結構ハードルが高い作業だと思います。
2015年の夏前までであれば、”HP Proliant Microserver N54L”とPT3、大容量のハードディスクを買えば良いと言えたのですが、残念ながらN54Lは販売終了、在庫限りになってしまったので、値段が高騰しています(私は1万6千円で購入しました)。そこで、価格を抑えた録画サーバのためのハードウェア構成を改めて考えてみようと考えた次第です。
以降でおすすめのパーツについて紹介しますが、マザーボードとメモリ、電源に関しては後編のハードウェア構成の記事のほうで説明します。
B-CAS関連パーツ
B-CASカード
多くの人は録画サーバ用のB-CASカードを古いテレビやDVDレコーダーなどから転用していると思います。しかし、その様な古い機材を持っていない人でもB-CAS社からカードを購入することが出来ます。
上記ページから購入可能です。ただし、新規購入の形ではなく「紛失」、「破損」、「中古機器購入」、「盗難の選択肢」のいずれかから選択する、あくまでカードの再発行の形になります。そのため、購入に関しては自己責任でお願いします。
送料・消費税込みの2,050円です。カードはBS・CS110度・地上デジタル放送3波共用の赤カードを選びましょう。
カードリーダ
現状購入可能なB-CASカードに対応したカードリーダは複数ありますが、上記のNTTコミュニケーションズ製のCLOUD2700-NTTComを購入しましょう。
Gemalto製のカードリーダも一般的に使用可能とされていますが、私の環境では古いPCで動作が不安定になるケースがありました。その古いPCでも問題なく動作したので、CLOUD2700-NTTComのほうをおすすめします。
おすすめパーツ
TVチューナーボード
現在購入可能なPCI ExpressのTVチューナーボードは、Linuxでの動作を考えるとPT3の1択になります。Windowsでも動作実績や情報が一番多いのはこのボードなので、自作PC初心者でも比較的安心して使えると思います。
2016年2月29日追記:ついにPT3の受注終了と言うことで、3月出荷分で販売終了となるようです。値段の高騰も予想されるため、購入を検討されている方はお早めに。PT3の代替品などの情報をこちらのページにまとめています。
ここからは余談です。LinuxではPLEX社製のボードならばfoltia ANIME LOCKER(CentOS 6.7ベース)限定で利用可能です。しかし、このLinux用ドライバは一般公開されていないようなので、他のLinux OSでは利用できません。ですが、評価版のfoltiaをインストールした環境にChinachuやepgrec UNAをインストールすれば、PLEX社製のボードを利用できるかもしれません。そこまでするメリットがあるかどうか私は知りませんが。
CPU
名称 | コア | クロック (GHz) |
TDP | C11.5 | C15 | PassM |
---|---|---|---|---|---|---|
Celeron J1900 | 4 | 2.00 (2.42) | 10W | 1.75 | 147 | 1759 |
Celeron N3150 | 4 | 1.60 (2.08) | 6W | 1.55 | 126 | 1811 |
Pentium N3700 | 4 | 1.60 (2.40) | 6W | 1.79 | 145 | 2090 |
名称 | コア | クロック (GHz) |
TDP | C11.5 | C15 | PassM |
---|---|---|---|---|---|---|
Athlon 5350 | 4 | 2.05 | 25W | 2.02 | 162 | 2640 |
Celeron G1840 | 2 | 2.80 | 53W | 2.4 | 198 | 2775 |
録画サーバ向けの省電力なCPU(正確にはCeleron G1840以外はSoC)の一覧です。マザーボード直付のオンボードタイプと交換可能なソケットタイプに分けてまとめました。全ての型番を掲載すると繁雑なので、代表的なもののみ掲載しています。
オンボードタイプのCPUはクロック周波数をカッコ付きで2つ表記しています。これらのCPUではインテル ターボブースト・テクノロジーが採用され、必要に応じて動作周波数を引き上げます。カッコ内の値は最大の周波数を表しています。つまり、アイドル時は周波数を下げ、負荷がかかると上げます。それによりトータルでの消費電力を抑えるわけです。
TDPは熱設計電力、最大動作時の熱量です(=消費電力ではないので注意)。
ベンチマークの結果も右端に載せました。C11.5=Cinebench R11.5 64bit マルチ、C15=Cinebench R15 64bit マルチ、PassM=Passmark CPU Markのスコアです。データはcpu-monkeyから拝借しました。値が高いほうがGPUを含む演算性能が高いことを示しています。ベンチマークの実行環境の記載は無かったので、参考程度に考えてください。
全体的に言えるのは、クロック周波数が高ければベンチマーク結果が良い訳でもなく、コア数が多ければ良いと言う訳でもないということです。また、消費電力を極力抑えたい場合、TDPの値からオンボードタイプのほうが有利であることも分かります。逆にH.264エンコードなどで時間を短縮したい場合、ベンチマーク結果からソケットタイプを選ぶほうが良いことも分かります。どちらを選択するかは、消費電力と演算性能のどちらを重視するかによります。
なお、ここで挙げたIntelのCPUはQuick Sync Video(QSV)に対応しています。QSVを使うとハードウェアエンコードを使用でき、動画エンコードの時間短縮になります。ただし、Linuxで使用する場合、FFmpegなどにQSV対応デコーダーを組み込まないといけません(要するに自分でFFmpegのビルドが必要)。
CPUクーラー
CPUがオンボードタイプの場合、CPUクーラーは当然必要ありません。そもそも、上記で紹介したオンボードのCPUは全てヒートシンクが付いており、ファンレスです。
また、ソケットタイプでもBOX品のCPUを購入するとメーカー製のCPUクーラーが付属しています(最新のCore i7-6700Kなど付属しないものもあります)。いわゆるリテールクーラーと呼ばれるものです。よほど音がうるさいとか冷えないなどの問題がない限り、交換は必要ないと思われます。
そのため、本記事ではCPUクーラーを特に紹介しません。悪しからず。
ハードディスク
PCでどの部品が壊れやすいかと言うと圧倒的にハードディスクです。そのため、録画サーバではここに一番お金をかけるべきだと考えます。24時間稼働することを前提に考えるとNAS用のものを選ぶと良いでしょう。
メーカーはWestern DigitalとHGST(日立グローバルストレージテクノロジーズ)をおすすめします。HGSTはWestern Digitalの子会社になってしまいましたが、それは別のお話なので置いておきます。どちらもNAS用の製品を販売しています。一般的にHGST製のハードディスクが最も壊れにくいとされています。
ハードディスクメーカーは他に東芝、Seagateがあります。東芝はあまりコンシューマー向けに力を入れておらず、NAS向けのような区分けで販売していません。あえて買うなら企業向けのEnterprise品でしょうか。Seagateは論外です。Gigazineさんの記事、「HDD約3万5000台を運用した実績からSeagate製品の圧倒的壊れっぷりが明らかに」と言う記事からも明らかに壊れやすいと言う悪評が多いです。ちなみに私も被害者の一人です。
現在の1GBあたりの単価から言うと3TBまたは4TBを購入するのが良いと思います。Western DigitalはWD Redシリーズ、HGSTはDeskstar NASがNAS用製品です。MPEG2-TSならば大体1TBあたり150時間ぐらい録画できます。
私はWD Redの3TBの製品を使用していますが、動作音は静かで特に問題なく動作しています。
個人的な好みに左右されそうなパーツ
PCケース
勝手な想像ですが、これから全て新しいパーツで録画サーバを作ろうとする人は、邪魔にならないように小型のPCケースで作るのではないかと思います。そうなると必然的にサイズはMicro-ATXかMini-ITXになります。PT3を2枚挿しをしたいならばMicro-ATXですが、それ以外はサイズの小さいMini-ITXをおすすめします。
オーソドックスなキューブ型のCooler Masterのケースとデザイン性に優れたMETISのケースを紹介します。どちらもMini-ITXの製品です。METISのほうは青、赤、緑、黒、金、銀の6色展開しているのが良いです。
紹介しといて何ですが、PCケースは出来れば店頭で実際に確認して購入したほうが良いです。自作のしやすさやデザイン性もと色々考えると、実物を見て店員に聞いてみないと判断できないこともあります。ですので、PCケースに関してはお近くのPCショップに行って確認してみたほうが良いと思います。
SSD
私のLinux録画サーバの環境では、起動ドライブと録画用のドライブを分けて、起動ドライブを32GBのSSDにしています。Linuxの場合、起動ドライブをUSBメモリにしている人も結構いるみたいですが、個人的にはやめておいたほうが良いと思っています。USBメモリは数千回程度しか書き込みできないので、一時ディレクトリである”/tmp”をRAMに移動したり、出来るだけ書き込みを避けるような設定が必要になります。そんな面倒な事をするぐらいならば、はるかに耐久性のあるSSDを使用したほうがましです。紹介した製品は32GBで約4千円のものですが、耐久性を考えると安いものでしょう。しかし、Linuxでは32GBで十分ですが、Windowsでは最低64GBぐらいにしないと容量的に厳しいかもしれません。
起動と録画のドライブを分けておくと、録画容量が不足した時にすぐに交換可能です。また、起動ドライブが故障しても録画ファイルに影響しません。また、OSがアップデートにより肥大化していっても、録画用のドライブに影響がない点もメリットです。
キーボード
キーボードなんて余っているものを使えば良いのですが、録画サーバが安定稼働すればキーボードなんて不要になります。こちらのロジクールのキーボードならば無線なので邪魔になりません。レシーバーはUSBですがBIOS画面でも使用できます。超おすすめです。以前は1,200円ぐらいで購入できたのですが、記事投稿時の価格は約2千円、そこだけ残念です。
以上が私のおすすめするパーツの紹介でした。後半のおすすめハードウェア構成の記事に続きます。